ASTRO(アストロ)のメンバー、ムンビンが亡くなった。4月19日に自宅で発見された。自殺だという。
アイドルの自殺ニュースを見るたびに鳥かごのセキセイインコを思い出す。
ムンビンは25歳、最近はムンビン&サナ(ユニット)で活動していた。5月には日本での公演が予定されていただけにAROHA(ファンクラブ名)のショックも大きいだろう。
4月8日タイでの公演の後、ムンビンは体調不良を打ち明けていたという。「体がちょっとよくなくて今は大丈夫です。事実、近年なにかちょっとロハ(AROHA)に告白したいことがあり、ちょっとつらかったです」
「つらかったけど最大限にそぶりを出さないようしてたけど、実際にファンコン時からちょっと気配が出てたようです。とても申し訳なく…もっとよくなるため努力しているから運動ももうしなきゃだし。ちらほら放ってほいたこと、取り戻してまたロハを幸せにしてあげなきゃでしょ。私が選択した職業だから僕が耐えなければならないでしょ。」と公演後の配信で伝えていた。(動画で確認)
公演中につらいとか大変とか見えてしまうくらいギリギリの状態でこなしていたということだろう。かなり追い詰められていたのではないか。
もうこれは勝手な想像でしかない。けれど、鳥かごのインコが浮かぶ。私が小学生の時、近所の友達の家で遊んでいた。友達の家には新入りのセキセイインコがいた。私はかなりの動物嫌いである。小さな小鳥でさえ苦手。友達は嬉しそうにそのインコを披露した。
私は「ふうん」という反応しか返せなかった。友達はもっと私を喜ばせてあげたかったのだろう。おもむろに部屋を密室状態にした。そして鳥かごの扉を開けてしまった。私は慌てた。今から起こる悪夢に寒気がした。
スポンサーリンク
バサバサッと鳥が籠から飛び立った。部屋中をひとしきり飛び回り、やがて友達の肩に乗っかった。友達は自慢げに私に微笑む。
ほら、手に乗せたインコをあろうことか私の肩へ!ギャーと叫び走り回る私…
思い出したくもないほどの光景だ。そのインコが籠におさまるとホッとして私は「籠の鳥なんてかわいくない!外に出して自由に生きればいい。」と私を脅かした存在に対し怒りをぶつけた。友達は「外ではもう暮らしていけないんだよ。すぐ死んでしまう。だからこの子は籠の中にいる方が幸せなんだ。」と言った。友達には二度と私の前でインコを出さないことを約束してもらい、私はかわいくないインコと同じ部屋にいることを許容した。
思い出したくなかった出来事なのにムンビンの死で思い出してしまった。籠のインコは本当に幸せだったのだろうか。確かに外界を知らない鳥は餌も与えられ、わずかな時間だが放鳥してくれる飼い主に嫌悪感などないだろう。鳥は空を飛ぶもの、ペットは閉じ込めるもの…ああ、動物嫌いな私には理解できない。なぜわざわざ飼うのか。遠くから見ているだけじゃダメなのか。
ムンビンは幸せだったのだろうか。自分で選んだアイドルという職業が本当にやりたかったことなのか。外から見ているだけじゃ華やかに楽しそうに見えるアイドル達。その実、過酷な練習と見えない籠の中だというのに。経営側は、商売だからアイドルという商品を管理する。体調不良にももっと管理が必要だった。ペットのようなアイドル達。アイドルを目指す子たちの目にはどう映っているのだろう。
ムンビンさんのご冥福お祈りします